ハイランド幻想

“目を開くと、既に対岸の様子も判らぬほど、周囲は完全な夜の闇に包まれていた。星明りの空の明るさと対照的に、その下の大地は密林の木々の輪郭だけを残して何もかもが黒い色の中に沈み込んでいる。夜が、実はこんなにも暗いものであるということを、私はすっかり忘れていた。――『ハイランド幻想』の「バリ島綺談」より抜粋”
この本は短編集だ。これまで、この作家の短編を読んだことがなかっただけに、短編10作を含んだこの本は、色々な意味で期待を裏切ってくれた。色々な意味で・・・とあえて付け加えたのは、マイナス面も含めて・・・という意味だ。彼の作品には、しばしば、輪廻転生(もしくは死後の世界)に関する記述が見受けられる。この短編の幾つかも、それを踏襲している。これは、小説というより、作家自身の希望的観測なのではないだろうか。自分としては、輪廻転生を特に信じているわけでも、否定しているわけでもないが、彼の作品の独特さがよく表れている部分だとは思う。
計242ページに10作品が掲載されているので、なかには、本当にショートストーリーの感じのものもある。これらについては、はっきり言って、スペースを埋める為に書かれたのではないか・・・と思われる作品もあって、正直、すこしがっかりした。やっぱり彼の作品を読むなら長編を・・・と思ってしまった。
何だかマイナス面ばかり書いてしまったけれど、小粒的に一つひとつが光っている作品もあるので、必ずしも全てを否定しているわけではない。短編というのは、その中のどれか1つがとても良くても、全体としては、そんなにたいしたことがない本である・・・という烙印を押されてしまうことが多いので、評価を迷ったが、結局、全体としての印象を優先した。
ジャンル:小説(文庫本)
評価:☆☆

“目を開くと、既に対岸の様子も判らぬほど、周囲は完全な夜の闇に包まれていた。星明りの空の明るさと対照的に、その下の大地は密林の木々の輪郭だけを残して何もかもが黒い色の中に沈み込んでいる。夜が、実はこんなにも暗いものであるということを、私はすっかり忘れていた。――『ハイランド幻想』の「バリ島綺談」より抜粋”
この本は短編集だ。これまで、この作家の短編を読んだことがなかっただけに、短編10作を含んだこの本は、色々な意味で期待を裏切ってくれた。色々な意味で・・・とあえて付け加えたのは、マイナス面も含めて・・・という意味だ。彼の作品には、しばしば、輪廻転生(もしくは死後の世界)に関する記述が見受けられる。この短編の幾つかも、それを踏襲している。これは、小説というより、作家自身の希望的観測なのではないだろうか。自分としては、輪廻転生を特に信じているわけでも、否定しているわけでもないが、彼の作品の独特さがよく表れている部分だとは思う。
計242ページに10作品が掲載されているので、なかには、本当にショートストーリーの感じのものもある。これらについては、はっきり言って、スペースを埋める為に書かれたのではないか・・・と思われる作品もあって、正直、すこしがっかりした。やっぱり彼の作品を読むなら長編を・・・と思ってしまった。
何だかマイナス面ばかり書いてしまったけれど、小粒的に一つひとつが光っている作品もあるので、必ずしも全てを否定しているわけではない。短編というのは、その中のどれか1つがとても良くても、全体としては、そんなにたいしたことがない本である・・・という烙印を押されてしまうことが多いので、評価を迷ったが、結局、全体としての印象を優先した。
ジャンル:小説(文庫本)
評価:☆☆





