どうにかこうにかワシントン
どうにかこうにかワシントン

“・・・別れの挨拶においても、みなさん、まあ、こまめになさるものだと感心する。もちろん、「バーイ」だけでも悪くはないのだろうが、必ずそこに、もう一言添えられるのが普通である。「Have a good day」「Have a good night」、週末前であれば、「Have a good weekend」と、そのときどきに応じて、実に器用に使い分ける。しかも、相手がぜんぜん知らない人の場合でも、それは旧知の友人のごとく軽やかに交わされる。――”『どうにかこうにかワシントン』より抜粋
ジャンル:文庫(エッセイ)
評価:☆☆
この本はアメリカのワシントンに著者が一年住んだときのことをまとめてあるけれど、所々同感できる所が多かったのは、今自分が、日本ではない異国の地に一時的であるにしろ暮らしているからだと思う。上記に抜粋した文章も大いに同感できた。アメリカとニュージーランドは違う点も多いだろうが、やっぱり、挨拶は大切にするし、本当に初対面・・・というか、たまたま乗り合わせたバスの運転手とかにいきなり話しかける人も少なくないのだ。
日本ではどうだろう・・・とよく考える。自分は、大学1年の夏まで、原付を持っていなかったので最寄り駅まではバスを使っていた。でも、その際に運転手に今日の天気の話などしたこともないし、逆に話し掛けられた記憶もない。その当時、自分にとって彼(もしくは彼女)は単に運転手であってそれ以上の何者でもなかった。やはり日本人は他人との距離のとり方が欧米人と比べて大きいのだ。だから、初対面の人や自分と関わりがほとんど無い人についてはそれこそ、徹底的に排除するか無視する傾向があるのではないか。
あと、2ヶ月ほどで自分は日本に帰国する。その時に、どんなことを感じるのか・・・この本にも、著者が帰国した時に感じた両国の「違い」が書かれているが、その中でも喫煙に関しての部分が興味深かった。日本でも最近は随分と嫌煙権なるものが発達して、かなり規制が掛かってきているけれど、アメリカやニュージーランドと比べると、それはまだまだ緩いものだ。アメリカについては、よく知らないが、今自分がいるニュージーランドの場合、公共の場所(屋内)は全面禁煙である。これに加えて、交通機関(バス、電車など)も全て禁煙。ホテルやそれに類する宿泊施設も基本的に全館禁煙、2004年からはレストランやパブなども全て禁煙になっている。となると、喫煙者はどこでタバコを吸うのか・・・例えばレストラン。日本なら禁煙席があるだろうけれど、そんなものは無いから、レストランの外に行かなければならないのだ。自分は、学校の友人とレストランやパブに行く機会がたまにあるが、その際に、喫煙をする友人は、必ずレストラン、パブの外に出て喫煙をしている。これが当たり前なのだから、喫煙者が住むには少しきついかもしれないけれど、このおかげか、日本より確実にタバコの煙を嗅ぐ機会が少ない気がする。
そして、ニュージーランドに来た事がある人なら知っているかもしれないが、タバコの値段がメチャクチャ高い。日本から来た人の中でタバコの値段の高さに、禁煙をはじめたと言う人も少なくないと思う。
話が大部、ずれてしまったが、本については気軽に読めるアメリカ暮らしに関するエッセイ。基本的に最初の数10ページはほとんどアメリカでの生活と関係がないので飛ばして読んでも構わないだろう・・・それと解説も必要ないと感じた。

2006.01.30 Mon l エッセイ l COM(0) TB(0) l top ▲
こんなに長い幸福の不在
こんなに長い幸福の不在

“きっともうすぐに、たのしい たのしい しあわせが
やってくるにちがいない。
だって、こんなにも長い幸福の不在――”『こんなにも長い幸福の不在』より抜粋
ジャンル:文庫(小説)
評価:☆☆☆
これは小説というより、詩集に近い。著者自身が、「ゆううつで暗い気分の時を選んで書いた」というこの本を読んで、でも何故か気持ちがふっと軽くなった。それはこの本の言葉たちが、この著者が生きることを諦めていないからだと思う。本当に生きることに真摯になれば、そこには長く深い幸福の不在期間が存在するはずで、それでも、「たのしい しあわせ」がやってくると信じて生きていく。その純粋で前向きな思いは、またいつか出会う幸福に繋がっていくに違いない。
少し話は外れるが、読んでいて気になったこと。字の下手さ。この本は、手書き風の字体だが、この字がお世辞にもきれいとは言えない。そこが素朴な感じで良いというのならそれまでだけれど、少し違和感が残った。著者自身が書いたのだろうか・・・。この著者の本を読むのはこの本が初めてだが、他の本もこの形式を取っているのだろうか・・・。

特別何かとてもすごい言葉が書かれてあるわけじゃない。「僕はこんな風に思うことがあるよ。」という何気なく当たり前なこと(でもそれはしばしば忘れられてしまう)が書かれていて、それらは決して押し付けがましくない。だから読者はそれぞれに、気に入った文章やページを見つけて、それを気分が落ち込んだ時に読み返せばいい。本当に気軽に読める本・・・というより詩集。

2006.01.16 Mon l 詩集 l COM(4) TB(0) l top ▲