ここに地終わり海始まる〈上〉
ここに地終わり海始まる〈上〉
ここに地終わり海始まる〈下〉
ここに地終わり海始まる〈下〉


“もしあの絵葉書が間違って志穂子に届いていなかったら、志穂子はいまもなお、病院で入院生活をつづけていただろうか・・・・・・。
いったい何ということだろう。俺の不注意が、あるいは俺に天野志穂子という名前を教えた看護婦の間違いが、ひとりの人間の生死や運命を変えるとは、いったい何ということだろう。――”『ここに地終わり 海始まる(下)』より抜粋
ジャンル:文庫(小説)
評価:☆☆☆☆☆
本当に何気なく選んだこの本が、まさかこんなにも面白いだなんて思いもしなかった。彼の作品は、これまで数冊読んだことがあったが、この作品で確実に彼をお気に入りの作家の一人に加えようと思った。ストーリーは、結核で18年間入院していた女性が、ある日、絵葉書をもらい、それをきっかけにして病気が治ってしまう・・・その後彼女は病院を出て絵葉書を送ってくれた人を探す・・・というもの。
この設定は、少し出来すぎている気がしないでもない。でも、小説というのは、多かれ少なかれそういう要素を含んでいるものだろう。何故この本に自分は評価を最高値にしたのか・・・それは、この小説が本当にいろいろなことを考えさせてくれて、なおかつ小説としての面白さをふんだんに盛り込んであるからだと思う。この小説の主人公は、18年間病院で窓と病院の天井を見る日々を続けた。だから彼女は空を見るのが好きではないのだ。病気が治るという見込みがあるのならまだ良い。でも、それさえも見出せずに先の見えない闘病生活を続けていた彼女がたった1枚の絵葉書から人生を一変させてしまう。
けれど、小説のラストまで読んでも、主人公がその後、幸せになったのかどうかは明かされていない。でも、この主人公はきっと幸せに生きただろうと思う。なぜなら主人公の性格が本当に良いから。どう良いのかは本を読んでもらえれば分かると思う。
この作者は本当によく考えてそれぞれの登場人物を際立たせている。だから一人一人が本当に生き生きと文章の中で動き出す。

幸せは、不幸の先にある・・・不幸が終わり幸福が始まるその瞬間を目指して人は生きるのかもしれない。

*本当にオススメです。基本的に、☆を5個付けた本というのは、外れがないと自信を持って言えますので(笑)。この本を読んだ方の感想もお待ちしてます。


2006.02.10 Fri l 小説 l COM(0) TB(0) l top ▲